やる気が出ない、でも辞められない——閉塞感に潰されかけた社内SEの話

やる気が出ない、でも辞められない——閉塞感に潰されかけた社内SEの話

「このまま今の会社にいて、自分はどうなっていくんだろう」——社内SEとして働きながら、ふとそんな考えが頭をよぎる日が増えていきました。

この記事で書くのは、入社1年目の後半から天井を感じはじめた私の話です。転職という大きな一歩ではなく、会社の外に軸を作るという小さな方向で対処しようとしている、現在進行形の記録になります。

成功談ではありません。副業の収益はまだゼロです。それでも、無力感に飲まれかけたあの頃と比べると気持ちの面で変わったことはあったので、同じような状況の人に正直に共有できればと思います。

今の会社へ転職した経緯は以下の記事で詳しく書いていますので、背景が気になる方はあわせてどうぞ。

目次

「がんばっても何も変わらない」と感じるようになった頃

閉塞感のある職場にいると、じわじわとやる気が削られていきます。最初は「気のせいかな」くらいなんですが、気づくとモチベーションの底が抜けたみたいに、何をしても気持ちが乗らなくなる感覚があります。

頑張れば評価される。スキルを伸ばせばポジションも上がる。働き始めの頃は、当たり前のようにそう思っていました。でも、しばらくすると「あれ、これって本当にそうなのか」と感じる瞬間が出てきます。

評価のしくみを知り、上のポジションに誰がいるかを知り、社内の技術がほとんど更新されていないことを知る。少しずつ全体像が見えてくると、頑張ることと結果が結びつかない構造に気づいてしまうんですよね。

私は結果的に、転職で環境を変えるという選択ではなく、会社の外に自分の軸を作るという方向で対処しようとしています。この記事はその過程の記録です。

1〜2年目、じわじわ天井が見えてきた話

きっかけは昇給の話と、消えた企画

初めての年度末評価面談が、天井を意識しはじめたきっかけでした。

昇給や評価の話を具体的に聞くなかで、給与がどのくらい伸びていくのか、その上限がどこにあるのか、ぼんやりしていた輪郭がはっきり見えてきました。「あ、ここはこういう仕組みになっているんだ。どれだけ頑張ってもこれだけか…」と気づいた瞬間、頑張りの行き先が急に狭く感じられたのを覚えています。

もうひとつ大きかったのが、2年目の終わり頃、自分が進めていた企画が上の判断でなくなった出来事です。社内に新しいことを取り入れようと、それなりに時間と熱量を注いでいたものでした。詳しくは書けませんが、知らされたときは「そうなんですね」と返すしかなく、何とも言えない感覚が残りました。

頑張りどころがなくなる、というのは思っていた以上にこたえます。

スキル・給与・ポジションの3つの天井

同じ時期に、スキル面の停滞も意識するようになりました。社内で使われている技術は古いまましばらく変わっておらず、新しい技術が入ってくる気配がありません。

外を見ればYouTubeやSNSで、エンジニアの人たちが新しい言語やフレームワーク、最近だとAI周りの話題を活発にやり取りしています。一方で社内に戻ると、その熱量はどこにもありません。世の中のエンジニアが新しい技術をどんどん吸収していくなかで、自分だけが古い箱の中にいる——そんな感覚に近かったです。

給与・ポジション・技術環境の構造的な話は、別の記事に詳しく書いているので、深掘りしたい方はそちらも読んでみてください。

学習性無力感——「やる気が出ない」が癖になるメカニズム

大学で心理学を専攻していたときに知った「学習性無力感」という言葉があります。セリグマンという研究者が犬を使った実験で示したもので、ざっくり言うと、何をしても状況が変わらない経験を繰り返すと、やがて行動を起こすこと自体をやめてしまう、という現象です。

これはあくまで実験の話なので、人間の職場の話とそのまま結びつけるのは乱暴かもしれません。それでも、当時の自分の変化を振り返ると、近いものはあったのかもしれない、と感じます。

わかりやすく出ていたのは、「会社のために頑張ろう」という気概がほとんどなくなったことです。以前ならもう少し丁寧に詰めていたであろう仕事に対して、最低限のラインで止めてしまう。気になる非効率な点を見つけても「まあいいか」と流すことが増えました。

集中力も、少し落ちた気がします。

朝起きるのがつらいとか、休日も疲れが抜けないといった大きな変化はありませんでした。ただ、業務中に「あれ、今何やってたんだっけ」と手が止まる時間が、前より増えた感覚はあります。

当時はそれを「自分の気合いが足りない」とか「ちょっと疲れてるだけ」と片付けていました。でも振り返ると、頑張りと結果が結びつかない構造のなかで、行動の意欲そのものが少しずつ削られていたのかもしれません。

動けなかった本当の理由——認知的不協和という言い訳

スキル・給与・昇進が厳しい。転職で状況を変えたほうがいいのかもしれない。頭ではそう思いながら、私はずっと動けない時期がありました。

今振り返ると、私は今の会社のいいところを並べて、動かない理由にしていたんだと思います。

情シス部門の人間関係は悪くないし、残業代は1分単位で出ます。フレックスもあって有給も取りやすい。これらは事実です。事実なんですが、それを「だから今は動かなくていい」の根拠として並べていた節があります。

心理学に「認知的不協和」という考え方があります。ざっくり言うと、自分の行動と気持ちが食い違っていると気持ち悪いので、その気持ち悪さを消すために、後づけで理由を作ってしまう、という人間のクセのようなものです。

「動いたほうがいい気がする」のに「動いていない」自分。この矛盾を消すために、「いや、今の会社にもいいところがあるから、動かないのが正解なんだ」と理由を後づけしていた——今振り返るとそんな構図だったように思います。

本当に納得していたのか、ただ動かないことの居心地の悪さを消したかっただけなのか、正直なところ自分でもわかりません。両方が混ざっていた、という感じが近いかもしれません。変わることへの不安と面倒くささのほうが、変わらないことへの不安より強かった、というのが当時の本音に一番近いです。

動かない理由を探すと案外見つかって、どんどん動かなくなっていくんですよね。

環境を変えられないなら、自分を変える——閉塞感から抜け出すために始めた2つのこと

職場の制度や上の人事を、自分一人で変えるのは難しいです。それなら変えられるのは自分のほうしかない——どこかでそう開き直って、二つのことを始めました。

会社の外で勉強する——学びを自分の手に取り戻す

ひとつめが、会社の外で勉強することです。

書籍を買ったり図書館で借りたり、YouTubeで現役エンジニアの方の解説を見たり、無料で公開されているオンラインセミナーを視聴したりしています。学んでいる中身は、モダンなWeb開発まわりや今よく使われている言語、それからAI関連です。最近だとClaudeをはじめとした生成AIの進化が早すぎて、追いかけるだけでも面白いです。

エンジニアとしての勉強だけでなく、社会人としてお金まわりの知識も広げています。投資や税金、社会保険のしくみあたりは、知っているかどうかで手元に残るお金がじわじわ変わるので、意外と効きます。

ここで一番大きかったのは、会社のスキルが止まっていても、自分の学びは自分でコントロールできるという感覚を取り戻せたことです。学ぶ内容も時間配分も、自分で決められる。これが思っていたより精神的に大きくて、「会社の中だけが世界じゃない」と思えるようになりました。

3層比較 「会社で得られるもの/会社の外で自分が育てられるもの/両方が重なるところ

副業でモチベーションを保ち、収入の柱を増やす

ふたつめが、副業です。実はこのブログがそれにあたります。

始めたのは2026年3月。まだ収益は出ていません。アクセスもこれからです。それでも、「前に進んでいる」という感覚があるだけで、平日の気分がはっきり変わりました

副業を続けるための時間がほしくなったので、自然と残業を減らそうという意識も生まれました。1日の使い方を見直して、無駄な時間を減らしたい、と考えるようになったのも変化のひとつです。会社の評価制度のなかでは伸ばせなかった「自分の時間の価値」を、別の場所で育てている感覚があります。

面白いのは、収益が出ていなくても、無力感への対処にはなっているいうことです。会社の評価に依存しない場所を持っている、それ自体が「逃げ道」というか、心の余白になっているんだと思います。

お金になっていないのに気持ちが軽くなるって、自分でも意外でした。

ちなみに、これが本当に対処として機能しているのかどうかは、まだ正直わかりません。もし機能していなかったら、そのうち私がこのブログから静かに失踪しているはずなので、追いかけていただければ結末は見えると思います。

同じように閉塞感を感じている人へ

私は会社の外に軸を作る方向を選びましたが、これが唯一の正解だとは思っていません。状況も性格も人それぞれなので、選択肢として整理してみます。

図解選択肢比較 「A環境を変える(転職)」「B自分を変える(学習・副業)」「C両方やる」を、メリット・始めやすさ・リスクの軸で並べた表

選択肢A:環境を変える(転職・現会社と交渉)
今の場所で頑張っても結果が変わらないなら、場所を変えるのが一番素直な手です。私自身は踏み切れていないのですが、今すぐ動く気がなくても、自分の市場価値という現在地を知っておくだけで判断材料は一気に増えると思います。

選択肢B:自分を変える(学習・副業)
私が実際に選んだ方法です。会社の外に学びや収入の柱を作ることで、会社の評価への依存度を下げていく考え方になります。すぐに結果は出ませんが、続けるほどに気持ちは軽くなりました。

選択肢C:両方やる
情報を集めながら、外の軸も並行して育てるパターンです。理屈ではこれが一番バランスが良さそうなのですが、実際にやろうとすると時間と気力の両方が足りなくなりがちで、私自身はまず副業側から手をつけました。今後副業が少し形になってきたら、転職エージェントにも登録して、Cに寄せていく予定です。

今振り返って一つ後悔しているのが、あの閉塞感がきつかった時期に転職エージェントに登録していなかったことです。「自分の市場価値がどのくらいなのか」という情報すら持っていなかったことが、無力感を強めていた一因だった気がします。比較対象を持っていない状態だと、「ここしかない」と勝手に思い込みやすいんですよね。

無料で登録しておいて、求人を眺めるだけでも「自分の今の位置」がぼんやり見えてきます。

一歩踏み出すかどうかは別として、選択肢を知っておくだけでも気持ちが楽になることはあると思います。少なくとも、情報を集めておいて損はないはずです。

最後にひとつだけ。変わることは確かに不安です。でも、変わらないでいることもまた、別の種類の不安をじわじわ育てていきます。当時の私は、変わらないことの不安に気づくのが遅れました。今同じ場所で立ち止まっている人には、どちらの不安も天秤にかけたうえで、自分の答えを出してもらえたらと思います。

ちなみに私は前職を3ヶ月で離れているのですが、その判断を『逃げ』と捉えなかった理由は別の記事に書いているので、一歩踏み出すことに引っかかりがある方は、そちらも覗いてみてください。

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プロフィール

realstrategylabのアバター realstrategylab ブロガー

20代・社内SE。新卒で引っ越し業者に就職後、職業訓練校を経てIT職へ転職。
得意なのは、IT・資産運用・筋トレ・心理学
完璧な成功談より、迷いや失敗も含めた「リアル」を届けたいと思っています。

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